診療予約システム 導入成功を探る (1/2)
最近よく目にする、病院、診療所、クリニックの予約システム。特に小児科では若いお母さん方の需要の高さもあってか、導入率は非常に高くなっています。しかし、システムはあくまでも道具、うまく運用しなければ患者さんためを思って導入したものが、不満の温床になりかねません。
そこで、ここでは一旦、自社のサービスから一歩引いて、広く病院予約システム全般について考えてみたいと思います。これから導入の検討を進める方や今問題を抱えている方の解決の糸口になれば幸いです。
− 現状を知る −
まずは何事も「敵(?)を知るにはまず味方から」で、現状を整理します。
- (1) 患者さんの主な年齢層や性別
- (2) 普段の混雑具合、診察前に並ぶ人がいるか
- (3) 診療の流れ
考慮すべき点はこんな感じでしょうか? 他、立地等も関係するかもしれませんが、ここではこの3つに絞って見ていきます。
(1)、(2)は予約システムを導入した際に、従来どおり窓口で受け付ける人に不公平感が生まれないか、(3)でどのような予約システムが適しているか判断します。
●患者さんのインターネット利用率を見極める
まず、「患者さんの主な年齢層、性別」はインターネットを利用しているかの判断に必要です。
総務省の「平成22年度情報通信動向調査」のインターネット利用率を見てみると、40代までは、男女差なく95%前後です。
50代から徐々に減少していきますが、それでも半数以上の人が利用しており、70代でようやく50%を切ります。また男性の方が10%程度高い値となっています。
※http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/statistics05a.htmlこのの結果から見えてくるのは、40代までの患者さんがメインターゲットである場合は、導入の敷居が一段低くなるということです。小児科で導入が進む理由の一つでしょう。
逆に50以上の患者さんを多く抱える場合は窓口受け付けしか出来ない何割かの人はその恩恵に預かれない、場合によっては不満を生み出す可能性があります。
●診療ま前に並ぶほど混雑している場合は要注意
2番目の「普段の混雑具合」は特に注意が必要です。もし、診療時刻の前に並んで待つような状況であれば予約システム導入により、大きな恩恵を受ける人がいる反面、窓口でしか受け付け出来ない人の不満が続出する可能性があります。
ここで一旦インターネット予約が受付行為の何を変えるかを考えます。
1つは距離、受付のための移動が不要になります。これにより不利益を被る人はいないでしょう。窓口受け付けの方も従来通りです。
2つ目は受付スピードです。ここで気をつけなければならないのは2つ目の変化です。窓口の場合は一人々々順番に処理するので、受け付けるのに人数分の時間がかかりますが、インターネット経由であれば一度に多数の人を受け付けるために、瞬く間に予約で埋まってしまい、窓口受け付けの方が不利益を被る可能性があります。
●システム選択の要は診療の流れ
3番目の診療をどのような流れで行うかは、システム選択の大きな要素です。ざっくりと以下のようなパターンを考えます。
- A. 患者さんを順番に呼び出して診察を行う。(小児科、皮膚科に多いパターン)
- B. 事前に検査を行ってから順番に診察を行う。(眼科に多いパターン)
- C. 同時に複数の患者さんの診察を行う。(歯科に多いパターン)
- D. 診察→検査→診察という順に行う。(総合病院に多いパターン)
実際にはもっと複雑だと思いますが、ざっくり分類するとこのようなかんじでしょうか。
これについては後ほどそれぞれのパターンに適したシステムを紹介いたします。
では、以上からご自身が1番から3番それぞれを現状と照らし合わせてみてどのような結果になるか考えてみて下さい。そこから取るべき対策を考えていきます。